landscape

11.01.12

イメージの中のスイス

冬のヨーロッパ、当然のことながらスイスの夜も足並みははやい。
午後の4時も過ぎればたたみかけるように日が暮れていく。

さすがにヨーロッパを訪れるのに、この時期を選ぶ人は少ない。
もちろん冬と初夏では印象も大きく変わってくる。
一般的な話として、ヨーロッパへの旅は5、6月頃がベストだという話もよく耳にする。

たしかにヨーロッパのあの初夏の抜けるような気持ち良さといったらなにものにも代えがたい。
湿気も少なく、天気のいい日にただ外のベンチに腰かけているだけで、日本では経験した事のない心地よい空気感を感じられるのだ。
天気さえ良ければほんとうに気持ちの良い時間帯があって、最近では「あ、これだ!」と心の中でつぶやいてしまうくらいなのだ。

それでも、というか、だからこそ、この真冬のスイスの風景も貴重に思われる。
浅い雪をまとったチューリッヒの冬景色は、そのただでさえクールな印象を、さらに幻想の世界へと押し上げてくれる。
イタリアではただの悪ガキのように感じてしまう子供たちも、ここではどこか知的に見えてしまう。


チューリッヒといえば、すぐに頭に思い浮かぶのがグラフィックデザイナーのヨセフ=ミューラー・ブロックマンやイラストレーターのへルベルト・ロイピンたち。
もし彼らがいなかったら、僕はここまでスイスに惹かれていなかったかもしれないし、たびたび訪れもしなかっただろう(この話はまた別の機会にとりあげたい)。

しかし今回はそんなことを思い返す余裕もなく、ただただあたりを見渡していた。

まだヨーロッパがどこにあるのかも良く理解できてなかった小学生の低学年のころ、なかでもスイスのイメージだけは割と鮮明に出来上がっていたように思う。
海外の写真を目にするのは、うちにあったカレンダーの写真か、旅行本の巻頭カラー写真くらいだったろうか。

アルプスや草原や雪、そしてメルヘンのような街、いま思えばスイスの日常をただ切り取っただけの写真だったような気もする。
でもそれらを見入るとき、かならずその写真の中に引きずり込まれ、なんともいえないとろけるような、いてもたってもいられない気持ちになるのだった。

そのことは今でも良く覚えていて、もう一度あの感触を味わってみたくて、意識的に写真をながめたりしてみるのだけれど、どうしてもそのときと同じような感覚は得られない。

それは子供特有の感覚によるものだったのだろうか。
それとも大人になるにつれて、なにかがすり減ってしまったのだろうか。
残念なことなのか、仕方のないことなのか、よくわからないままここまできてしまった。

でも真冬のチューリッヒにやってきて、当時勝手に自分のなかに作り上げてしまったスイスのイメージが、それほどずれてはいなかったことがあらためて実感できた。
山々や雪で覆われた草原、荘厳な街並み。

どことなく北欧に似ているという人もいるけれど、やはりスイスにはここでしか味わえない品の良さと落ち着きのようなものがある。
この時期にわざわざチューリッヒを訪れたのは、どうしても早く訪ねておきたい仕事先があったからなのだけれど、なんとなく内省的な気分になってしまう旅でもあった。




街の中央、リンデンホーフ公園からの景色。リマト川をはさんで、旧市街がほぼ一望できる。チューリッヒに行ったら必ず立ち寄ってみてほしい。どこの国でも子供たちは元気だ

最近はトラムもほとんどリニューアルされてしまった。それでも今なりの情緒を漂わせる

バスやトラムの停留所ではいつものスイスタイポが楽しませてくれる


パステルで彩られた建物もここでは浮き足だたない

スイスメイドの炭酸飲料。過去に一度日本にも輸出されてやって来たことがあるらしい


どことなくくすんだ太陽の輝き、そして雪一面の草原

早朝の赤みがかった冬景色


ホテルの窓がクリスマスカレンダーに

店先のモミの木も、本物らしさを感じさせる


エコということで、ネオンにペットボトルが用いられていた

これが遠目で見たネオン。こうなればペットボトルだなんてわかりません


backnext